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 2014年11月のコラム

過去のコラム
真珠、一粒の宇宙

小松 博

第17回 | 2014.11.25

「真珠と貝殻」

「真珠というのはすべての面が表面から出来ています」と言うと、ほとんどの方がうなずきますが、
目の奥にかすかな不安を浮かべています。何故かすかな不安かと言いますと、
私の説明が単に視覚的に見た表面のことを言っているのではないことを知っているからです。
私は構造的な表面を言っているのです。
真珠の全表面が構造的表面から出来ているということは、これは凄いことなのです。
こんな物質は世の中にそうあるものではありません。しかし生物の世界では当たり前のことでもあるのです。
例えば人間もすべての面が表面から出来ています。体表面と言った場合、空気に接しているところすべてを言います。
しかし地雷で飛ばされてしまった人間の足は断面(切り口)と表面から構成されたものになってしまいます。
貝殻を加工した球体にしても、切ったところは断面ですから、その球体は構造的に表面と断面を持つことになります。

第16回 | 2014.11.17

「核」

大きな誤解がひとつの言葉のネーミングから生まれたということは、世間ではしばしばありうることだと思います。
そのひとつの典型的例をこの核に見ます。真珠養殖にとって欠かせないモノである核です。
先ず核が無くても養殖真珠が出来ることは最近の中国産淡水真珠の存在でほとんどの方が知ったことだと思います。
いわゆる無核真珠です。
前回で述べましたように、真珠が出来るのは(養殖、天然を問わず)、真珠袋が貝の体の中にあるからです。
宝石の専門家の方々は結晶学を習得していますから、核が成長して結晶が出来ることを金科玉条にしています。
ここに誤解が生じます。貝体内に入れた核が成長して真珠が出来るという風に理解してしまいます。違うのです。
核は真珠袋の形を丸くするために入れるのです。核ではなく型が正式ネーミングだったのです。

第15回 | 2014.11.10

「すべての貝は外套膜という臓器を持ち、そこで貝殻を作っている」
「真珠を作る貝のみが真珠袋という臓器を持ち、そこで真珠を作っている」
この二つの定義は関連を持ちながら、決定的に異なったことを指している。
貝は系統分類学という学問では軟体動物という分類に入る。
この貝類には貝殻を持つという際立った特徴がある。その貝殻を専門に作る臓器が外套膜である。
すべての貝が持つ普遍的な臓器とでも言えるだろう。 この外套膜の破片がで体内に入ってしまったとする。
不思議なことにこの破片は行き続け、養分をもらい成長するのである。やがてそれは袋状の臓器になる。
するとこれまた不思議なことに袋の中に貝殻を作り始める。 この袋の中の貝殻のことを人は真珠と名付けた。
さらに前出の「何かの拍子」を人為的に行うのが真珠養殖法である。

第14回 | 2014.11.04

「鉄則=拭く」

真珠の手入れの鉄則は、着用後拭くということです。
なぜ、拭くというこの単純な動作が、真珠の輝きを永続化させる唯一の方法であるか三つの角度から考えてみましょう。
① 汗:人の皮膚分泌物のことです。
    成分は油と水の混合物。性質は弱酸性、何よりも粘着力があります。真珠にべったりとくっつきます。
② 真珠の表面:まるで、ピカピカのタイル張りの床のように
    カルシウムの小さな結晶が敷き詰められているのが真珠の表面です。
③ 輝きを失う:カルシウムのタイルの上に汗がくっつきます。
    じわじわ汗はタイルを溶かし始めます。やがて真珠の表面のタイルは虫食いのようになってしまいます。
    もう、あのピカピカさは失われます。これが輝きの消失です。
虫食いを作らないためにはこの汗という粘着物を、やわらかいクロスで拭き取り、それから仕舞う。
唯一の方法である所以です。

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