HOME >

 今月のコラム

過去のコラム
真珠、一粒の宇宙

小松 博

第28回 | 2015.2.23

「LED」

遂に真珠の世界にもLEDが登場しました。当社が近日発表、販売する「光透過装置」のリニューアル品はこのLEDを使っています。
LED(Light‐Emitting Diode)とは「発光ダイオード。Pおよびn型半導体結晶が隣り合って構成し、…電気―光変換型の半導体素子である」(丸善刊『応用物理ハンドブック』より)ということになります。
レントゲンとは異なるこの真珠の内部を見る光透過法とは、強い光を真珠の底部からあて、上から内部を透かして見る方法です。われやひびなど内部欠陥を検査したり、ブルー系の真珠の鑑別などに使われます。
当初は100ワットのハロゲン電球を使いました。その後、装置面でいろいろ改良は進みましたが、とにかく強力な明るさが絶対に必要です。同時にいつも悩まされるのは熱の問題です。明るさと熱は一体の関係にあったからです。しかしLEDはこの問題を一気にお解決しました。熱の出ない光だからです。

第27回 | 2015.02.16

「直入」

タヒチの首都パペーテ空港に降りたのは6年ぶりです。海も空も街の雑踏も少しも変わっていませんでした。
大きく変わったことがひとつあります。養殖現場での挿核技術者が日本人から中国人に変わったことです。
原因は人件費の違いです。徹底したコスト削減が行われているのです。わずかに残る日本人は、その「直入」技術を買われているのです。
「白蝶貝の浜揚げは、アコヤ貝の真珠の採取と全く異なり、貝を屠殺して真珠を取り出したりはしない。メスを使って収足筋や腸管などを傷つけないように注意しながら軟体部を切り、生殖腺にある真珠袋をできるだけ破損しないように切り開いて、真珠を取り出すのである。」(日本真珠振興会刊『真珠の養殖』より引用)
「真珠を貝の体内から取り出したなら、直ちに新しい核を、今取り出したところの真珠袋に接着するように挿入する。この挿核手術を直入手術作業という。」(上述書より引用)

第26回 | 2015.02.09

「真珠が球体である所以」

先日、著名な宝飾デザイナーT氏と話す機会がありました。その時の氏の言葉「球体というのはそれ自体が完結したかたちであるためデザインの上でそれ以上に広げるのはひじょうに難しいのです」は印象的でした。
真珠が球体であることに慣れ親しんでいる私たちですが、一歩掘り下げてみるとこのことは意味深いものを秘めています。
貝の体の中に丸い核を入れて養殖真珠は出来るのですが、もし三角形の核を入れても、時間がたてばその形は球形に近付いていきます。生体の体内では異物を球形にすることによって違和感を和らげようとする動きがあるのです。
さらに前号でも紹介しましたように、真珠の色や輝きである「テリ」も、上半球に現れるものと、下半球に現れる2種類があります。これもかたちが球であるが故の現象です。
真珠が無限の宇宙のような存在であることは、「形」に着目しても証明しています。

第25回 | 2015.02.02

「月の裏側、真珠の裏側」

一粒の真珠を月に例えてみましょう。
地球から見て、月はいつもその半分の面しか見せてくれません。
この月の裏側が絶対に見えないという事実は人間の御好奇心をかきたてました。
人々は想像を描きます。「うさぎが住んでいる」「宇宙人の基地がある」「月にも人が住んでいて一大都市を建設している」等々。
宇宙技術の発達はついに月の裏側の映像をとらえました。残念ながら表側と同じような荒涼たる世界でした。
話は変わります。私たちは真珠を観察する時、手のひらに乗せたり、白いクロスの上で見ます。
これは真珠の上半球だけを見ていることになります。言うなれば、真珠の表側だけを見て、裏側は見ていないわけです。
そこは荒涼たる世界ではありませんでした。クロスなどで反射され、拡散された光が七色の光彩の世界を作っていました。

ページの先頭へ