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 今月のコラム

今月のコラム
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真珠、一粒の宇宙

小松 博

第40回 | 2015.5.18

「鑑別・鑑定」

「鑑別」「鑑定」という日本語は、辞書では同じ意味で使われています。
しかし私の研究所では、「鑑別」は本物と偽物を判別すること、「鑑定」は本物の品質を判定することに限定した言葉として主に使っています。
真珠の鑑別の大半の仕事は本物の色(ナチュラルカラー)か、着色された色かの判別です。
この場合の判別ですが、科学的に立証された方法によって判別されます。この科学的に立証された方法とは当然のことながら、誰でもがその方法を使えば同じ結論が出るという意味です。
真珠の鑑定の大半の仕事は「テリ」が最高レベルにあるかどうかの判定です。
この場合の判定ですが、ほとんどの方々が習熟者の「目」によるものと思っておられます。
私たちはこの判定も科学的に立証された方法によって判定しています。「テリ」の光学現象解明の研究の成果による方法です。

第39回 | 2015.5.11

「不透明体」

五千五百年前の真珠を鑑定していた時のことです。ひとつのおもしろい現象に気がつきました。光が全く通らないのです。真珠がいわゆる不透明体になっているのです。
一緒に発掘された、さまざまな貝殻にも同じ現象が見られました。強い光をビーム状にして片側から照射しますと、普通の貝殻の場合は反対側は明るくなりますが、数千年を経たものはなりません。
その時は、発掘された物体が本当に真珠であるかどうかを判定することが課題でしたので、その現象については頭の片すみに置いておくだけにしました。
以来、透明・不透明とは何かということを考え続けてきました…。
物体内部に、①光を吸収する物質がある場合、②光を散乱する界面がある場合、透明体は不透明体に変わります。
数千年の時間を経た真珠層を電子顕微鏡で覗いて観ると、カルシウムの結晶を接着しているたんぱく質はすべて無くなっています。光を散乱する界面が生じていたわけです。

第38回 | 2015.5.07

「茶金」

ある調査によりますと、日本の海の汚れはひどく、どこの沿岸も昭和20年代の4倍以上になっているそうです。
養殖真珠にとって海はきれいであればある程良いわけですから、海の浄化は真珠産業にとって死活問題になるわけです。
海のきれいさと言えば、思い出すのは何年か前に訪れたミャンマーのアンダマン海のきれいさの凄さです。
ミャンマーの首都ヤンゴンの人たちの食膳を支える魚類は、街を流れる大河イラワジで獲れる淡水魚で十分まかなえるそうですから敢えてアンダマン海で魚を獲る必要はないということになります。
冗談ですが、アンダマン海の魚は天寿を全うして浮かび上がってくると言われます。
その海に煙草の吸い殻を投げ捨てた瞬間、虫と間違えて魚が飛びついてきた時には私自身この冗談を納得したものです。
同時に、この海だからこそゴールド系真珠の最高峰、幻の真珠と言われる「茶金」(ちゃきん)が生まれるのだということにも納得しました。







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