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 今月のコラム

今月のコラム
真珠、一粒の宇宙

小松 博

第140回 | 2017.04.24

真多麻(まだま)

私どもが発行している鑑別鑑定書の中で、最高品質マークを添付する一連のシリーズがあります。「オーロラ真多麻」は、ブルー系アコヤ真珠の最高品質に対する特別呼称です。

「真多麻」は、万葉集で詠われる真珠の呼び名のひとつに因みました。海から揚がったままの、何ら人為的処置を施していないブルー系真珠にふさわしいと考えたからです。

この真珠は、真珠内部に有機物などの“異物”が巻き込まれるためにブルー色が発現します。当然、“異物”起因のキズや変形が起きる筈です。にもかかわらず真円のかたちを保ち、キズが僅少と言うのは、稀有の存在です。さらにテリ最強が綾取る虹彩色の鮮やかさが見事です。この「鮮やかさ」もこの真珠の特長です。というのは光の干渉(厳密には反射の干渉)では、真珠全体が黒っぽいと、鮮やかさが増大する性質があります。これは昼間も存在する天空の星が、夜になると見えてくるのと同じような原理です。

第139回 | 2017.04.17

天女

私どもが発行している鑑別鑑定書の中で、テリ最強を強調する一連のシリーズがあります。「オーロラ天女」は、当社の「オーロラ花珠」の中で、特にテリが際立っていることを強調する特別呼称です。

その具体的証(あかし)は、輝度分布値(1980年代に熊本大学の相田貞蔵教授らが開発したテリの測定法)を測定する装置で、最高値の90%以上を示すこと、反射干渉光(球体である真珠のみに現れる、光の干渉現象を表す言葉)の放つ色模様が、赤から緑まで3色以上鮮やかに出現することの、2つの必要十分条件を備えていることに示されます。

それは、様々な色の花が咲き乱れる花園の上空を、3色の羽衣をなびかせてゆったりと舞う天女たちの姿を思い描いても良いのです。あるいは、光が演じる輝きと色彩の饗宴を、真珠という凝縮された舞台の上で鑑賞することを意味していると言っても良いでしょう。鉱物の宝石たちが決して真似が出来ない、真珠の究極の美しさを讃えている言葉なのです。

第138回 | 2017.04.10

ムーンレインボー

私どもが発行している鑑別鑑定書の中で、テリ最強を強調する一連のシリーズがあります。「ムーンレインボー」は、ゴールド系白蝶真珠のそれに対する呼称です。

ムーンレインボーは、“ナイトレインボー”“月光虹”“月虹(げっこう)”とも呼ばれ、夜空に虹の橋が架かる非常に珍しい現象です。月の光は太陽のそれの45万分の1しかないのです。にもかかわらず、満月であること、水滴が空に充満していること等々いろいろな条件が全部揃うと虹が見られるのです。イグアスの滝やハワイのカウアイ島での観測が世界的に知られていますが、今年の1月沖縄の石垣島で撮影され、新聞紙上で大きく報じられました。

白蝶貝の“ゴールドリップ系”を使えば、黄色色素による黄色い珠の出現は比較的容易です。しかしそれは単なる「真珠」に過ぎません。いまひとつの条件「テリ最強」が加わった時、輝きが現れ、虹が現れ、「真珠」は「ムーンレインボー」に変身するのです。

第137回 | 2017.04.03

ピーコック

1970年代から、養殖の成功により、市場にクロチョウ貝産出の黒蝶真珠が現れました。“ピーコック”呼称はその時代に、テリのすばらしい珠について生まれた言葉です。珠の周縁部に現れる鮮やかな緑や赤紫の色彩が孔雀(ピーコック)の羽のそれを連想させるからでしょう。名付け親は不明ですが、この天才的発想には敬意を表します。

1665年イギリスの大科学者ニュートンは、その著書『Opticks』で孔雀の尾羽部分が、見る方向で色が変わることを観察し、光の干渉現象を予告しました。その後20世紀初頭レイリー卿ら物理学者がこの現象を「多層膜干渉」として解明しました。2006年私たちは、真珠のテリがこの多層膜干渉の一種であり、特に黒蝶真珠ではひとつの典型として現れることを究明しました。

「ピーコック」は、当社では黒蝶真珠のテリ最強を強調する鑑定用特別呼称です。

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