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 今月のコラム

今月のコラム
真珠、一粒の宇宙

小松 博

第136回 | 2017.03.27

オーロラ ボレアリス(ナチュラル)

アコヤ真珠の中でも、ブルー系のバロック形状に対するテリ最強の呼称が「オーロラ ボレアリス(ナチュラル)」です。オーロラ ボレアリスとは、俗に言う“オーロラ”の正式名です。極北の、酷寒の冬の夜、天空に現れる巨大な光のカーテンであるオーロラ ボレアリスは青、緑から黄、赤まで七色の縞模様を織り成して突然現れ、突然消えていくと言われます。

ブルーバロック珠も、転がす度に緑や青が現れ、あるいは赤や橙が現れるといった具合に色彩変転が著しく、この小さな球体の中に“オーロラ”が詰まっているのではと思ってしまいます。この秘密を解く鍵は2つです。ひとつは「ブルー系」にあります。灰から黒に近いその色は、夜空の星のように虹彩をより鮮やかにします。いまひとつは「バロック」にあります。表面の複雑な凹凸が、入射光の角度を極めて複雑にしているのです。

 

第135回 | 2017.03.21

スターダスト

私どもが発行している鑑別鑑定書の中で、テリ最強を強調する一連のシリーズがあります。「スターダスト」は、シルバー系白蝶真珠のバロック珠に対する呼称です。この真珠が放つ光彩は、宇宙を旅する小惑星を連想させます。

小惑星の宇宙の旅のフィナーレは、数十年にもわたる漆黒の旅の果てに、太陽に接近した時に見せる一瞬の、その個性的なかたち全体から放つ光芒にあるのです。

この真珠のテリは、他の真珠のそれとはひと味違う“微妙な違い”があります。先ず、目を射るような鋭い輝きではありません。「燻(いぶ)し銀」のような、真珠層の遥かな深みから滲み出るような柔らかさです。さらに、光が作るピンクやグリーンの虹彩は随所に現れていますが、同時に球面のいたるところから、雲の縁から湧き出る光芒のように、光の筋が射し込んでくるのです。この現象をどう説明するのか、毎日考えている今日この頃です。

第134回 | 2017.03.14

ロゼ rosē

私どもが発行している鑑別鑑定書の中で、テリ最強を強調する一連のシリーズがあります。「ロゼ rosē」は、アコヤ真珠の中でピンクの干渉色がひときわ強く出ているものに対する呼称です。この種の真珠の希少性は、次の光学的条件を満たさなければならないことからも分かります。先ず真珠層を構成する結晶層の厚さは、0.3ミクロン(±0.02ミクロン)です。この値の時、全球面にこの色が出るのです。さらに形はほぼラウンド系です。ゆがみは光の入射角度が変わり別の色が出てきます。黄色色素の存在や、調色処理は混色作用を起し、この色に濁りを与えてしまいます。

真珠層の中で光のみが作るこのピンク色は、100%に近い鮮やかさを有しています。「一点の濁りもないピンク」あるいは「透明感を伴ったピンク」と形容しても良いでしょう。“0.3ミクロン”は四季を持つ日本の海と、日本産アコヤガイの最高芸術品なのです。

第133回 | 2017.03.06

青大勾珠

天然真珠が静かなブームを起こしています。コンク、ホースコンク、メロなど希少な逸品の中でアワビのそれも根強い人気ものです。今、手元にある「ホープパール」もニュージーランド産出の天然アワビ真珠です。厚さ1.5ミリ、20×10ミリの偏平な、人間の“足跡”のような形で、青緑の眩い光彩を放っています。この真珠の注目点は2つです。ひとつは薄くて偏平、いまひとつは眩い青緑の光彩です。

有名な「魏志倭人伝」の一節、「…献上男女生口三十人。貢白珠五千孔。青大勾珠二枚。異文雑錦二十匹。」卑弥呼が亡くなって、その宋女壹與が後継ぎとなり、中国に贈った貢ぎ物のリストです。問題は「青大勾玉」です。定説はヒスイの勾玉のことを指します。私見はアワビ真珠です。「玉」ではなく「珠」の字を使っていること、「枚」の字は偏平で薄いものを指し、色がヒスイのような青緑なので、こうした表現になったという考えです。

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