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 今月のコラム

今月のコラム
真珠、一粒の宇宙

小松 博

第182回 | 2020.04.24

日本の海と貝は裏切りません

「調色」とは、小学館『デジタル大辞泉』によれば、①絵具をまぜ合わせて望みの色を出すこと。またその色。等々です。我が国の養殖真珠で使われている「調色」は独断的、自己満足的言語です。にもかかわらず、以前からその是非についての論争は続いています。

このことを考えるに際して私は2つのことを指摘しておきたいと思います。ひとつは養殖法発明以来100年間、日本は養殖真珠の宗主国であり、その中で作られたのが「調色」という言葉でした。今、グローバル化の波は日本をも呑み込もうとしています。

ふたつめはもっと重要なことです。真珠が、人類にとって最古の宝飾品でありえたのは、テリがあったからです。輝きを伴った光彩色、これがテリの正体です。ピンクの染料の世界ではないのです。「調色」是非論は色が最高であるという土俵です。今こそ誇りを持って、テリの土俵で世界の真珠と勝負すべきです。日本の海と貝は決して裏切りません。

JOW-Japan 新報2015年8月号

第181回 | 2020.04.01

現状打破には、百倍の苦しみを伴っても現れないものがある

日本のアコヤ真珠が、かつての盛況を取り戻すにはどうしたら良いのか新年早々から考えています。品質の中心に「テリ」を据えることは間違っていないと思います。具体的には、生産段階で現状の10倍位の量的増大が必要です。そのためには何をしたらよいのか。ここで思考はストップしてしまいます。深吊り法の促進、貝掃除の減少 etc.。今までやる人はやっていました。しかし10倍の生産量アップには全く手は届いていません。

ひらめきのひとつを紹介しましょう。それは、真珠は「すべての面が表面から出来ている(脚注1)」という事実です。真珠袋の中で真珠ができるということは、このような生物的生成の道筋を通っていることを先ず重視する必要があります。ここから貝の体全体という視野から離れ、真珠袋とその周辺に限定化します。次に、テリ最強の真珠層の構造を模式化し、それらと真珠袋ー周辺との相関性を探っていくという手法を一日も早く見出すことです。

脚注1:第154回

JOW-Japan 新報2016年1月号

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