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 今月のコラム

今月のコラム
真珠、一粒の宇宙

小松 博

第190回 | 2020.08.17

真珠振興法の成立を大きな視野でとらえると

久しぶりの朗報です。「真珠振興法」が6月1日の真珠の日に成立しました。平成10年の真珠養殖事業法廃案以来「真珠産業及び宝飾文化の振興を図るための措置を講じる」ことになったのです。しかも「農林水産省と経済産業省が関わっていく」というのです。

その主要な施策を列挙しますと、◎生産者の経営の安定、◎生産性及び品質の向上、◎輸出の促進、◎研究開発の推進、◎人材の育成及び確保、◎国の援助等々になります。

真珠の養殖法を発明し、世界中に真珠を普及したのは日本なのです。私達の先輩である日本人なのです。真珠養殖事業法は国家のエゴを離れた世界的視野から生まれたという見方は正しいと思われます。ならば、この法律成立と廃案の経緯をこの時点できちっと総括すべきではないかと思うのです。この発明の奥にある、科学的先進性、とくに細胞レベルの深い洞察は、真珠を離れて、人類の寿命や健康にも十分貢献しえると思うのですが。

JOW-Japan新報 2016年8月

第189回 | 2020.08.04

真珠、分かる世界と分からない世界の同居

最近一冊の本を出しました。『真珠事典』なる名称で、わが研究室のスタッフとの合作です。これまで取り組み、発表してきた真珠のいろいろな面についてのまとめのようなものです。しかし私はこの本の副題を「真珠、その知られざる小宇宙」としました。私にとって、過去においても、そして現在でも真珠は宇宙なのです。いろいろな面について研究し、解明してきましたが、私にとって真珠は宇宙のように未解明の世界でもあるのです。

先ず、なぜこの小さな球体を見て美しいと感じるのか、それすら分かりません。

光が作る色の世界が太古の時代から続いていることも、教科書的にはいくらでも説明できますが、分子、原子レベルでの構築となるとお手上げの世界です。一個の真珠を構成している440兆個のカルシウムの結晶が、光の色とどういう関係を持って私たちの目の世界に入ってくるのか等々についても当然ながらお手上げの世界です。

JOW-Japan新報 2016年7月号

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