HOME >

 今月のコラム

今月のコラム
真珠、一粒の宇宙

小松 博

第194回 | 2020.10.19

現代科学でも未解明の難題のひとつが真珠形成

「核を入れると真珠ができる」という定説(?)が地球上のすべての人々に定着して100年が過ぎましたが、この誤りを正すのは更に難しくなっています。真理はもっと難解なのです。確かに「核と一緒に外套膜の一片(ピースと呼んでいます)を体内に移植する」は正解ですが、これを更にもう一歩掘り下げると、より難解さが浮上してくるのです。ピースは厚さ1ミリ前後、縦横3ミリ前後です。この小さな小片には裏表があり、どちらの面も極めて小さな細胞群から出来ています。不思議なのは表面を構成する細胞群は移植後どんどん分裂していくのですが、裏面の細胞は白血球にすべて食べられてしまうのです。

表面細胞は遂に袋状になり、真珠袋になります。この袋こそが真珠層を作り、ついに真珠が出来上がるのです。表面の細胞は真珠を作り、裏面の細胞は白血球に食べられてしまい、真珠作りには無縁になる。現代科学でも未解決な細胞の難題がここにあるのです。

JOW-Japan新報2016年12月号

第184回 | 2020.10.01

真珠が生み出す七色の干渉色

真珠には2つの色彩群が存在していますが、それが厄介な問題を生み出しているのです。一方に多彩な色素や染料に起因する色があります。これは厄介さとはあまり縁がありません。問題はもう一方の広義のテリに属する、あるいは光が作ると言い換えても良いのですが、光が真珠に入って起こす干渉という現象による色彩です。これが厄介な理由を挙げますと、第一にこの色のことが余り知られていません。真珠には色素や染料による色だけがあると思われているのです。第二にテリとは輝きや光沢あるいは艶のことであり、色とは無縁の現象だと思われているのです。第三にテリを測ることは極めて難しく、多くの経験の集積による「カン」に頼るしかないと思われているのです。

球体の真珠層から成る真珠は、拡散光に接触させるとダイクロイックミラー効果(脚注1)等により鮮やかな七色の干渉色を出し、それは美しく且つ測定が可能なのです。

脚注1:第173回参照

JOW-Japan新報2016年2月号

ページの先頭へ